男女の違いを知り、受け入れて、その特性に応じて教育すれば、男女両方ともその良さをいっそう伸ばせます。
そこで、男女の違いについて拙著『男女別学で子どもは伸びる!』(学研パブリッシング)に記載したことを中心にご紹介します。
男子の読書、女子の読書
女子の方が読書好きということは、読書調査によってもわかります。
第55回学校読書調査報告(『学校図書館』NO.709 2009年11月号)を見てみましょう。
(調査対象は小学4年生~高校3年生まで)
学年別・男女別1か月間の一人あたりの平均読書冊数は、小学4年生~中学3年生までは、どの学年でも女子が多くなっています。
高校になると男子がやや多くなりますが、ほぼ同じくらいです。
この時期に高校女子の読書が少ないのは、ケータイの影響があるかもしれません。
紙の本は読まないけれど、登下校の電車の中やちょっとした空き時間に、ケータイで小説を読むという子が増えているからです。
また、学年別男女別不読者(1か月に1冊も読まなかった子)を見ると、学年が上がるにつれて増えているのですが、どの学年でも男子の方が多くなっています。
このように全体的にみると、女子は読書を好む傾向が強くあるのです。
当然ながら、男子と女子では好きな読み物が違っています。
小学生男子では、「日本の歴史」や「三国志」、また「かいけつゾロリ」が人気です。
伝記も多く読まれていますが、主人公はいずれも男性です。戦国の武将や坂者龍馬に加え、スポーツ選手など。また冒険ものや推理ものもよく読まれています。
小学生女子では、「学校の怪談」「怪談レストラン」「黒魔女さんが通る!!」シリーズや、「赤毛のアン」の人気は根強いようです。
伝記では、「ヘレン・ケラー」「ナイチンゲール」「アンネ・フランク」「キューリー夫人」など女性を取り上げたものが多くなっています。
中学・高校では、男子は、『三国志』のような戦争もの、『バッテリー』のようなスポーツもの、『ハリーポッター』『ダレン・シャン』のような冒険ファンタジーは定番のようです。
女子は、ケータイ小説の影響が強くあり、学年にもよりますが、『恋空』『赤い糸』のような恋愛ものがよく読まれています。また『余命1ヶ月の花嫁』『99のなみだ』のように感動して泣けるような読み物が多いようです。
近年、読書に関する男女の垣根は低くなってきているそうですが、それでも違いはあります。
小・中・高校生の読書傾向をざっと概観すると、男女とも同性の主人公が活躍する物語(小説)、あるいは伝記をよく読んでいるように思います。
男子の友情、女子の友情
女子の仲の良い友だちは二、三人。彼女たちはいっしょにいることを好み、会話が友情の中心になります。
他のだれにも言っていない秘密を打ち明けあうとき、女子は自分たちが親友だと感じます。また、なるべく対等の関係を望み、上下関係を避けます。
男子には理解できないことですが、休み時間にいっしょにトイレに行けるほど仲が良いということは、女子にとって大事なことであるようです。
男子の仲の良い友だちは、親密でない分、もっと多くなります。男子は、スポーツやゲームや活動が友情の中心になります。そのとき会話はほとんど必要ありません。
たとえ上下関係があっても友情はこわれるどころか、仲間意識をはぐくみます。
また、男子がケンカを含む争いごとをした後、より親しくなれるのは、女子がしばしば理解できないことでしょう。
女子は、悩みがあったり、勉強でプレッシャーがあったりすると、親しい友だちに打ち明けて解決しようとします。
多くの場合、女子はただ話をし、聞いてもらうだけで、支えや慰めを得ます。また、そんなとき、ふだんにも増して友だちのそばにいたがるものです。
男子は、そんなとき、自分ひとりになりたがります。親しい友だちにも、軽々しく自分の悩みを打ち明けず、なんとか自分で解決しようとするのです。
多くの母親はこういう男子の傾向を理解できないので、へたに干渉して、「別に」「ほっといてよ」と煙たがられることになります。
教師との関係のあり方も違う
女子は、教師とも仲良くしたいし、大切されたいと願っています。
おおむね教師の指示にはよく従います。先生に嫌われるような目立った行動も表立ってはまず取りません。多くの女子たちは、教室は自由でリラックスできる雰囲気の方が良いと考えています。
教師がそんな女子たちに指示を出すのに命令口調は必要ありません。彼女たちは、自分を大切に思ってくれる教師の優しいささやきで動きます。
一方、男子は教師と仲良くしたいという気持ちは女子ほどありません。
男子は、目の前の教師に対して、尊敬できる存在かできない存在か、言いかえれば自分が従ってもいい相手かそうでないかを問題にします。
そのために、わざとルールを破ってみたり、挑発的な態度をとったりするのは、男子の方が多いでしょう。
時には、腕力、知力などで教師との対決を好みます。
そんな男子たちには、権威ある教師の短い一言が効きます。
彼らは友だちのような教師よりも心から敬服できる教師を求めているのです。