学力を伸ばすヒント

子どもが悪い点を取ってきたとき親はどうすればいいか?

「怒ってもあまりいいことはない」

「感謝すれば思いがけずいいことがある」

これは、子どものとの関係でも同じです。

では、2つのケースを比較してみましょう。

テストの悪い点数を見てカッとなり怒りまくるケース

▼子どもがにこにこしながら、親に報告してくれることがあります。

「見て、見て、今日、
ぼく、テストで100点だったよ」

「まあ、すごい!」

「ほら、ほら、これだよ」

「がんばったわねー」

▼でも、子どもはいつも100点を取れるものではありません。

では、悪い点をとってきた俊くんとお母さんの例を見てみましょう。

▼「俊くん、今日、テスト、返してもらった?」

お母さんの声にギクリとする俊くん。

「えっ、うん。でも、どうして知ってるの?」

「まあ、なんとなくね。じゃあ、すぐお母さんに見せなさい」

有無を言わせぬお母さんの声にたじろぐ俊くん。

「あの、お母さーん、怒らない?」

お母さんの顔色をうかがいながら、俊くんは、恐る恐るランドセルからテスト用紙を出します。

それは見るも無残な30点のテスト!

お母さんは、それを見ると、カッーと頭に血が上り、猛烈なスピードで口を動かしはじめました。

「まあー、なんてひどい点なの!俊くん、あなた、いったい何してたの!ちゃんと勉強しないからこうなるのよ!ちゃんと授業中に聞いてるの!・・・」

一旦、開いたお母さんの口はなかなか閉じません。

「だから、いつも言っているでしょう。宿題はちゃんとやりなさいって。寝る前にちょこちょこっとしたってダメよ。この前も、ゲームやりすぎてたのでしょ。それにテレビばっかり見すぎでしょ。この前、40点とってきたときも言われたのに、まだわからないの!またボケーとして、ちゃんと聞いてるの!!」

はい、俊くんは聞いています。

でも、まったく頭に入っていません。

ただ嵐が過ぎるのを、身を縮めて待っているだけです。

そして、頭の中で同じことを繰り返し考えているのです。

(失敗だった。失敗だった。馬鹿だった。やはりお母さんにテストを見せるんじゃなかった。もう絶対見せない!これからは破って捨ててやる)

▼これで俊くんが、よくなるでしょうか?

よくならない、とどなたも思われるでしょう。

これは、子どものやる気を削ぎ、親子関係を悪化させる典型的な例です。

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テストを見せてくれた正直さに感謝するケース

▼では、同じような状況で、もう一つの物語を展開させてみます。

はい、スタート!

▼「俊くん、今日、テスト、返してもらった?」

お母さんの声にギクリとする俊くん。

「えっ、そうだね。でも、どうして知ってるの?」

「うん、なんとなくね。じゃあ、すぐお母さんに見せなさい」

有無を言わせぬお母さんの声にたじろぐ俊くん。

「あの、お母さーん、怒らない?」

「うーん、どうかしらねー」

お母さんの顔色をうかがいながら、俊くんは、恐る恐るランドセルからテスト用紙を出します。

それは見るも無残な30点のテスト。

▼お母さんは、それを見ると、カッーと頭に血が上りましたが、すぐには口を開きませんでした。

母と子の間に沈黙の時間が流れました。

だいぶたってから、口を開いたのは、俊くんの方でした。

「お母さん、怒ってるの?」

お母さんは、やっとテストから目を離しました。

「怒ってる?、そうね、怒っているのかな。でもどういうのかな、悔しいのか、悲しいのか、よくわからない気持ちなの」

そして、俊くんの方に向き直って言いました。

「俊くんもこのテストもらったとき、いやな気持ちがしたでしょう。そんな気持ちよ、きっと。俊くん、ありがとう。お母さんに見せたくないテストを見せてくれて。お母さんは、俊くんが正直でいてくれることが何より嬉しいよ」

俊くんの目が涙でうるみました。

「お母さん、ごめんね」

「えっ?」

ぼく、ちょっとさぼっていたと思う。もう少しやればできたと思うよ

お母さんは、にっこりほほえんでいました。

「そうね、俊くんなら、やれば、もっとできたとお母さんも思うよ」

すると俊くんは、この日一番の弾む声でこう言いました。

「うん、ちゃんと授業を受けて、きちん宿題もしていれば、もっとできたと思うよ。この頃、ゲームをやりすぎてたし、テレビも見過ぎてた。お母さん、がんばるから、ボク。これからもっとがんばるよ!!

▼俊くんは、自分が口にしたことを忘れないでしょう。

(しばらくは・・・)

そして、自分で宣言したように、自分なりに努力をするでしょう。

その結果がどうなるか、わかりません。

でも、その結果をまたお母さんに見てもらいたいと思うでしょう。

これは、子どものやる気を増し、親子関係を良好にする例なのです。

▼前の例と、どこが違うのでしょうか。

それは、お母さんの態度と言葉です。

前の例では、お母さんは怒って相手の非を責めてばかりでした。

でも、後者では、お母さんは責めませんでした。

そのかわり自分の感情を伝えたのです。

そして、わが子が正直にテストを見せてくれたことに感謝したのです。

現実の世界でも、親の態度と言葉によってまったく違う結果を生むのだと私は考えています。

子どもに感謝しよう。きっといいことがある!