国語辞典はひらがなが読めれば今日から使える
人間は、おおむね言葉で物事を理解し、考えます。
また、多くは言葉で自分の考えを表現し、伝えます。
言葉をよく知っている人は、その点が有利です。
子どもが学校の授業でもそれ以外の場面でも、よりよく理解し、思考し、表現できるようになるには、語彙を豊富にさせることがたいせつです。
そのためには、読書が最適です。
それ以外に、辞書に親しむという習慣が欠かせません。
作家の吉川英治さんは、百科辞典を読み物として繰り返し読んだそうです。
ですから、作家仲間でも誰も知らない言葉の意味を吉川さんだけが知っているということが多々あったようです。
辞典を引くのが楽しくなるコツ
小学生でも、日常生活の中で、ちょっと目にしたり、耳にした言葉を国語辞典で引いてみたりするだけで語彙は豊富になります。
国語辞典の使い方は、学校では、ふつう小学4年生で習います。
でも、私が小学1年生の担任をしていたときには、1学期の5月から全員に国語辞典を持たせました。
全員が4月までにはひらがなが読めるようになっていますから、引き方さえ教えれば、1年生でも国語辞典はすぐに引けるようになります。
ただし、たいせつなポイント2つあります。
1.小学1年生でも引けるふりがなつきの辞典でなければなりません。
2.国語辞典を子どもが喜んで引けるようになる重要なポイントは、付せんを使うということです。
付せんは、100円ショップや文房具店で売っている小指サイズの色つきのものです。
たとえば、先生が「国語辞典で、『たのしい』をさがしなさい」と問題を出します。
子どもたちはいっせいに国語辞典を引き始めます。
そして、見つけた子は、先生が用意していた付せんを1枚もらいに来るのです。
その付せんに「たのしい」と鉛筆で書いて、国語辞典の「たのしい」が載っているページに貼り付けていきます。
それが、一つの言葉を見つけたという目に見える印として残ります。
そういうことをずっと繰り返しているうちに、子どもたちの国語辞書は色とりどりの付せんでいっぱいになります。
それがまた、子どもたちにはうれしいのです。
一度調べた語句の頁に付せんを貼るという方法は、立命館小学校の元校長の深谷圭介先生が考案された方法です。
自分のしたことが目に見える形で残っていくことで、達成感が生まれ、もっと調べたいという意欲がでてくるのが、このやり方のよいところです。
とくに男の子は競争好きですから、競って言葉を引くようになり、辞書引きにのめりこむ子もいます。
そうしてそのうち、子どもたちは辞書を引くことに慣れてきて、言葉も豊かになっていくのです。
家に国語辞典を一冊
家庭では、リビングに1冊国語辞典を置いておき、子どもが興味をもったり、意味がわからなかったりする言葉を調べさせるとよいと思います。
はじめは、親が手本を見せます。
最初は、男の子が喜びそうなおもしろい言葉がいいでしょうね。
そのうちいっしょに調べ、調べてわかる楽しさを味わうようになれば、自分で辞書を引くようになります。
できれば、付せんも用意しておき、引いたページに自分で貼らせてください。
子どもにとっては、その付せんが増えていくのも、楽しみになります。
そして、「へえ、こんなに付せんが増えたの」と、ときどきは見てあげましょう。
子どもは認めてもらえると、ますますやる気がでます。
付せんがいっぱいになるにつれて、国語辞典に親しみ、語彙が豊かになり、自分で調べることを楽しめる子どもに育っていますよ。
国語辞典と仲良しにさせる。