効果的なほめ方のヒント

子どもの発達段階や年齢に合わせてほめる

子どもはひとりひとり違う個性をもっていると同時に、性別、それぞれの家庭の中での立場、発達段階が違います。

それらを考慮していないと、ほめたつもりでも子どもの心を傷つけることもあります。

逆に一人ひとりの子どもに合わせてほめることができれば、同じほめ言葉でもより効果的に子どもを伸ばすことにもなります。

ここでは、発達段階によるほめ方の違いを考えていきましょう。

例としてあげたものは絶対的な基準ではありませんので、目の前の子どもをよく見て、その子に応じたほめ方を考えていく際の参考としていただければ幸いです。

発達段階に合わせてほめる

子どもは日々、成長しています。変化していく子どもに対する親の対応は基本的には変わらないにしても、個々の子どもの発達・成長を考慮した上で、子どもとの接し方、ほめ言葉を微妙に変えていくことも必要です。

乳児(0歳~1歳半くらいまで)

赤ちゃんにとっては、おっぱいを飲むこと、寝ることすべてが大切な生きる営みです。

その際、赤ちゃんは、親の助けなしには何ひとつできないので、泣くことで自分の欲求を表現します。お腹が空いた、オムツがぬれて気持ち悪い、熱があるときなど、その度に赤ちゃんは、泣いて訴えます。

お母さんがその欲求に愛情をもって応えてあげれば、赤ちゃんの心は満たされ、泣くのをやめます。そんな毎日くり返される親子のやり取りを通して、赤ちゃんはお母さんへの信頼を深めていきます。

こうして、自分がどれくらい愛されているかを赤ちゃんは敏感に感じとっていきます。

この時期に、赤ちゃんにたっぷり愛情をもって応えてあげることが、親や自分をとりまく人への信頼感をつくるのです。

おっぱいを飲んだ。笑った。手を握り返してくれた。うんちをした。
そんな子どもの行為をすべて受け入れ、「お乳をいっぱいのんだね」「かわいいね」「手を握ってくれたね」「うんちもたくさんしたね」などと喜んであげましょう。

はじめて寝返りができた。はじめて立てた。そんな小さな成長を見逃さず、「わあ、よくできたね」「じょうずだね」「うれしいよ」と親子で思いっきり喜ぶといいでしょう。

赤ちゃんは、それによって、「親といっしょにいると楽しいな、うれしいな」「自分は喜ばれているんだな、愛されているんだな」と感じます。
そういう思いが、子どもの心に自己肯定感、そして生きる意欲や喜びを育てていくのです。

 

ポイント 愛情をもって包みこむようにほめる

 

幼児期前期(1歳半~3歳くらいまで)

この時期の子どもは、ヨチヨチ歩きができるようになったり、自分でいろいろとやりたがるようになり、言葉を覚えて発したりするようになります。

特に言語の数は個人差があるものの急速に増します。

の反面、自己意識が強くなり、これまで親の世話に頼りきりだった子が、ムリな自己主張や「イヤイヤ」が多くなってきます。また、いたずらもし、ちょっとしたことを自慢したり、気に入らないと泣いたりかんしゃくおこしたりすることがあります。

親もこれまでどおり「かわいい、かわいい」と手放しで許せることはできなくなり、叱ることが多くなりがちです。

しかし、この時期の子どもたちは、生まれてはじめて見たり触れたりするものに対して好奇心が旺盛ですし、何でもかんでも親からしてもらうのではなく自発的に活動しようとしているのです。

こういう傾向は、この時期の子どもが正常に発育している姿です。

それを「これはダメ」「あれもダメ」「あなたはダメ」と押さえつけて、親の言うことを聞かせようとすると、意欲、やる気の乏しい子になってしまいます。

また、体罰を加えて厳しく叱りつけると、親子関係が損なわれる危険があります。
危険なことや人にめいわくをかけるようなことは、すぐに叱ってやめさせなければなりませんが、実際は叱らなくていい場合が多いものです。

たとえば、子どもがダダをこねたり、泣いたりするのは、自分の要求を通したいといより、親に甘えたいという気持ちが強いのです。

そんなときは、抱きしめてあげて、「どうしたのかな?」「〇〇がほしいんだよね」とまず、その気持ちを十分に受けとめてあげます。そして、無理な要求なら「でも、もうちょっとがまんしようね」「よくがまんできたね」などとがまんさせるのです。

子どもは親に愛されている、大事にされている、という安心感があり、親への信頼があれば、自分を律し、がんばろうとする意欲をもてるようになります。

日頃から笑顔で、「大好きだよ」「あなたはお母さんの宝物だよ」「いつもあなたの味方だよ」というメッセージを発し続けていることで、親子のよい関係は築かれていきます。

 

ポイント たっぷり甘えさせるようにほめる。

 

幼児期後期(3歳~6歳くらいまで)

この時期の子どものほとんどは、幼稚園や保育園に通うようになります。家庭以外の集団生活で過ごす時間が多くなるのです。

子どもは、集団生活を通してさまざまなことを経験し、社会性を育てていきます。

幼稚園の先生や保育士さんとのかかわり。年上の子、年下の子、同じ年令の多くの子どもとのかかわり。子どもには、楽しくうれしいことが多い反面、とまどい、悲しい経験をすることもあるでしょう。

そんな子どもにとって、親はいつも自分を守り、励ましてくれる存在でありたいものです。親のいる家庭はいつも「安らぎの場」であり、「外の世界から帰る場」であるという安心感が、いつも子どもの心にあることが大切です。

そうであれば、一人では不安なことやイヤなことがあるかもしれないけれど、親がいなくても、子どもは元気を出して、外の世界にでかけ自分の世界を広げていけるのです。

親は、子どもによい友だち関係ができるように、「おともだちと仲良くできたね」「けんかしても、ごめんが言えたね」「すぐに仲直りでできてよかったね」とほめてあげましょう。

また、幼稚園の先生や保育士さんにもより親しめるように、「先生のお話をよく聞いて帰ったね」「先生に教えていただいたこと、きちんとできるね」「先生も〇〇ちゃんのこと、好きなんだよ」などと、その関係をほめてあげるとよいでしょう。

 ポイント 家族以外の人ともコミュニケーションがとれるようにほめる。

 

小学校低学年(6歳~8歳くらい)

小学校に入学すると、子どもはたくさんの新しい知識や技術を習いはじめます。

次々と新しいことを勉強することは、不安はあるものの喜びでもあり、この時期、ほとんどの子どもは好奇心をもって楽しんで学習ができます。

しかし、一方、その学習したことをテストの点や他人との比較で、評価されることもわかりはじめます。
そのため、自分の得手、不得手も意識するようになり、人よりうまくできないことに対しては、苦手意識をもち消極的になるものです。

そういう子どもに対して、安易に親が「もっと早くできないの」「どうしてこんな簡単ことを間違えるの」「もっとがんばりなさい」などと言うだけであれば、ますますその勉強を苦に思うようになっていくでしょう。

この時期の子どもには、勉強やスポーツというものは楽しいものだし、続けて努力していけば必ず成果があがることを経験させ、その喜びを十分に味あわせたいものです。

ですから、苦手なことに努力して取り組んでいるときは、「よくやってるね」「だいぶうまくなってきたね」「前よりずいぶんできるようになってきたね」などとほめてあげるとよいでしょう。

であれば、子どもには努力し続ける意欲が湧いてきます。

そうして時間がかっても課題ができたのであれば、「お見事!」「ベリーグッドだよ」「最後までよくがんばったね」などと、ほめて喜んであげるとよいでしょう。

子どもはたとえ困難があっても努力続ければ、自分の目標や夢が叶うことを深い喜びを味わいながら知るようになるでしょう。

 

ポイント 学校生活は楽しいものだと実感できるようにほめる。

 

小学校中学年(8歳~10歳くらいまで)

小学生中学年は、ギャングエイジと呼ばれます。

子ども達は急速に仲間意識が発達し、多くは同年齢の子と閉鎖的な小集団をつくって遊びや活動をすることを喜びとするようになります。

友だちと集まって野球やサッカーをやったり、いたずらをしたり、大人の目から離れて、子どもたちは自分たちで考え、相談してルールをつくり、群れて遊ぶようになるのです。

いろいろな人とかかわる力を身につけるうえで、この時期に友だちとたくさん遊び込む経験は大切です。

この仲間は、家族以上に大きな影響を持つこともあり、大人から干渉されない自分たちだけの集団であることを望みます。

親は多少心配かもしれませんが、子どもたちの自立を見守ってあげればよいと思います。

友だちとのケンカやトラブルが多くなる時期ですが、それを通しても子どもは成長していけるものです。

ケンカをして自分からあやまれたら、「よくごめんないが言えたね」「すぐに仲直りできたね」などとほめてあげるとよいでしょう。

また、この時期は学力差がつきやすく、学習面・運動面などの自分の得手不得手も自分でわかってきます。

子どもには不得意なことを指摘するよりも、得意とすることを見つけてほめてあげるとよいでしょう。

「算数の計算、速くなったね」「難しい漢字が書けるようなったね」「社会の調べ学習でたくさん調べられたね」「○○が得意だね」

子どもは、ほめられたことで意欲的になり、好きになっていきます。

そして、多くの場合、自分はやればできるんだという自信が育ち、他の不得意なものへの克服にもつながっていきます。

 

ポイント 得意なことを見つけてほめる。

 

小学校高学年(10歳~12歳くらいまで)

特に女の子は顕著ですが、おおむね小学生高学年から思春期がはじまります。

子どもは自分自身の存在を問い、将来の自分について希望や不安をもち、その答えをみつけるために悩むようになります。

重ねて体に性的な変化が急激に起こり、そうしたことも子どもの好奇心や不安 をあおります。

こうした心身の変化は、早ければ小学校高学年、普通は中学生頃に起こます。精神的にも混乱する中で、自立への道を切り開かねばならないのが思春期です。

親がとるべき理想的な態度は、子どもを信じて見守るということです。

思春期(反抗期)に入った子どもにガミガミ叱っても、子どもは反発するだけで効果はありません。

この時期に子どもは、権威のある人よりも、自分好きだ、尊敬できる、信頼できると感じる人の意見しか聞かないようになっていきます。

ですから、それまでにどのような親子関係を築いてきたかが、とても重要なのです。

子どもを理解するために子どもの話をよく聴くことが大切です。

親に反発するのは、自立心の表れです。素直になれない自分にいらだちもがきながらも成長しようとしているのです。

ですから、生意気なことを言っても、頭ごなしに叱りつけないでください。叱るときには、感情的にならず、その行動の悪いところについて短く諭します。

子どもが自分は親から愛されているし信頼していることを感じられれば、きっと聞き入れてくれます。
また、子どもの話で共感できることには日頃から、「なるほど、そうね」「そのとおりね」と言ってうなずいて聴いてあげます。

その中で「そうね、あなたはそう思ってるの」「その考えはいいね」「大人になったね」と肯定してあげることです。

そうすることで、「あなたが好きなんだよ」「大切に思っているよ」「信頼しているよ」という気持ちが子どもに伝わるようにするのです。(これらの言葉は、子どもが大きくなると親も言いにくくなるので、小さいうちから事あるごとに言っておくとよいでしょう)

その気持ちが伝われば、一時的に反発していても、決して親への信頼を失うことはないでしょう。

思春期に入りかけ、子どもの心が揺れ動くこの時期、親は子どもをしっかりと信じ温かく見守ってあげることができるが何よりも大切です。

 

ポイント 子どもの行動を叱っても、人格的は信頼し温かく見守ろう