勉強ができた方が学校生活は楽しい
将来のために勉強は必要ですが、現実問題として勉強ができない子はかわいそうです。
基本的に、学校は勉強をするところです。
ですから、勉強が好きなほうが、学校生活は楽しくなるということは言うまでもありません。
ある教科の勉強が好きな子は、その教科の授業がわかって楽しいからです。
もしも、その授業がわからなければ、授業はつまらないし、苦痛になります。
成績も悪くなって、惨めで恥ずかしい思いもする上に、親から叱られれば、その勉強が嫌になります。
すると、成績はさらに落ち込みます。
小学生の女の子の場合、授業態度が真面目で、かつ言語能力も同年齢の男の子と比べると高いので、授業がわからなくなることは少ないでしょう。
でも、国語は良くできても、算数を少し苦手に思う子がいるかもしれません。
私の知っている小学6年生のA子ちゃんは、算数が苦手でした。
知り合いの学習塾を少し手伝う機会があり、その子を個別に教えることになりました。
そのとき彼女は中学校に上がる前の春休みで、算数を集中的に復習していました。
A子ちゃんは、母一人子一人の家庭の子で、「家でお母さんが見てやることはできないので、塾で教えてもらいなさい」ということで通うようになったそうです。
様子を見ていると、小学5年生の分数や割合、図形問題など、問題の三割くらいしかできません。約分、通分の基本となるかけ算、割り算もよくできていませんでした。
学校で教えてもらっているはずの基本的な計算技能が、ほとんど身についていなかったのです。
横で算数大好きの同じ6年生の男の子が中学1年生の数学の問題をしているのを気にしながら、一向に勉強は進みません。
間違える度にため息をつき、ときどきかわいいキャラクターの下敷きを眺めます。
A子ちゃんは、本当は算数の勉強なんてやりたくないのです。
このまま中学に上がると、数学の時間は苦痛のタネになるだろうなと心が痛みました。
残念ながら、学校ではA子ちゃんのような子をなかなかフォローできないのが現状です。
A子ちゃんは、真面目にがんばる子ですから、誰かが基本をちゃんと教えてあげて励ましていけば、もっと算数はできると思います。
現に私が横について前の学年の基本的なことに戻って教えてあげただけで、A子ちゃんはできなかった問題ができるようになり、目を輝かせていました。
このような子は日本全国にたくさんいると思います。
本当はできる能力があるのに、できないで悩んでいる子です。
基本的なことを理解し、きちんとできるようになるまで練習して次に進めば、小学校の勉強はそう難しくありません。
いろいろな新しいことを知る喜び。できなかったことができるようになる達成感。
自分を向上させていき、未来に希望がもてる幸福感。
勉強を通して、子どもは生きる力をつけることができます。
基本的なことに戻って教える。