ずっと大切な3つのしつけ
しつけには、時間がかかります。
たいていの場合、一度や二度、言ってできることではありません。
何度も何度も繰り返し教え、やらせて、身につけさせるものです。たとえば、しつけで大事なものは「3つ」と教育界では言われます。
これは、京都大学出身の哲学者で、教育学者でもあった森信三先生が提唱されて以来、半世紀以上も継承されてきた基本中の基本「しつけ3原則」です。
その3つとは、
1 あいさつができる。
2 「ハイ」とはっきり返事ができる。
3 ハキモノを脱いだら必ずそろえ、席を立ったら必ずイスを入れられる。
ということです。
森信三先生は、これらをしつければ、他のことも難なくできるようになると論じられました。
その主張は心ある多くの教師に受け入れられ、広がり、根強く支持されています。
実は、このしつけ三原則は、幼児や小学生のためだけのものではありませんね。
学校を出て、社会人になっても、多くの企業などで同じようなことを研修で新入社員にしつけていませんか。
つまり、「あいさつ」「返事」「後片付け」は、社会人としてもよい人間関係を築き、よい仕事をしていく上でも基本中の基本だからです。
しかし、「最近の若い者はあいさつさえできんなあ」と言われるように、実際はなかなか身につかないものでもあるのです。
それを小さなわが子に何度かしつけたとしても、すぐにはできないのはあたり前です。
とくに男の子は、30分前に言ったことをもうすぐに忘れています。
何度言っても、同じことを繰り返します。
たいていそうなのです。それが男の子というものです。
男の子は後から伸びる!
子育ては、急ぐ必要はありません。いまその場で結果をださなくてもいいのです。
とくに男の子は、成長のスピードが遅い。
同年齢の女の子よりもやや幼いのです。
これは、体格的には中学2年生くらいまで続きます。
精神的には、高校生になっても女の子のほうが成熟しているのが一般的です。
これは男の子と女の子の成長のスピードが違うだけなので、ご心配にはおよびません。
小学1年生の担任をしているとき、子どもたちのお母さんから、「うちの子は姉が1年生の頃と比べると、なんだかボーッとして頼りないみたいですけど、だいじょうぶでしょうか」というようなご質問をたびたび受けたものです。
そんなときはいつも、「男の子の場合、この時期の女子と比べて成長が遅いのが普通ですので、ご心配なさる必要はありませんよ。男の子はあとで伸びますから」というようなことを申し上げてきました。
それでも心配そうなお母さんには、「あの坂本龍馬だって、子どもの頃は伸び悩んでいたらしいですよ。男の子はいつか豹変するものです」と付け加えたこともあります。
男の子が女の子より身体的、精神的な面だけでなく、学力も中学生以降に急速に伸びるということは多くあることなのです。
子育ては、いますぐ結果をださなくてもいいのです。
そう思うと、ちょっと気がラクになりませんか。
なによりも、お母さんに笑顔が戻ったほうが、子どもにとってもお母さんにとってもプラス。
そして、それが幸せを引き出すエネルギーになります。
しつけは、結果を急がず、長い目で少しずつ・・・。