私が勤務していた学校では、小学一年生から毎日宿題を出しています。
たとえば、小学一年生でしたら、国語は「ひらがな・カタカナ・漢字などの練習」、算数は「計算プリント」、および「読書日記」を出しています。
「読書日記」とは、読んだ本の書名とページ、日付けを記録していく一枚の紙で、子どもは毎日担任に提出してはんこをもらいます。読む本や時間については自由です。
これら宿題の目的は、家庭学習(読書)の習慣づけと授業で習った学習内容の定着です。
学校だけで勉強して、そのあと家で何もしなければ、子どもの学力は伸びません。
学力の高い子どもというのは、ある一定以上の家庭学習を毎日しています。
ですから学校では、平均的な子どもが無理なくできる量の宿題を出して、より効果的な家庭学習を促すと同時に、自主的に家庭学習ができるようにとの方針をとっているのです。
そのため、家庭学習として宿題をするのは当然のことだと、子どもたちには教え、保護者にもご理解いただいています。
しかし、当然のことだと思っていても、ごく少数ですが宿題のできない子どもがいます。
たまにではなく、頻繁にできない子どもの場合、必ず原因あります。
親が宿題に無頓着な場合は、子どもも無頓着になりますが、ここでは親が教育熱心であるにも関わらずできない場合を例にとってみます。
教育熱心なあるお母さんは、「宿題終ったの?」と毎日のように聞きます。
子どもはそれを聞くと、「もう少ししてからやろうと思ってたのに、お母さん、ぼくを全然信用してないな」と思い、ウンザリします。
「早くすませてしまいなさい!」というお母さんの追い討ちの言葉が聞こえてきて、シブシブ勉強部屋に入るのですが、まったくやる気にはなれません。
少しやる気が出てきたらやろうと思って、マンガ本をめくっているうちに、三十分経過
「そろそろ、ごはんよ。食べなさい」とお母さんの声が聞こえてきます。
ごはんを食べたあとは、頭は完全にリラックスムードで、ボーとしています。
やる気どころか、眠気がわきあがってきます。
そのまま寝てしまうか、その後なんとか宿題ができたとしても、それは大急ぎで「すませてしまった」もので、雑な字で間違いも多いものです。
こういう状況が多い子どもは、まずもって子どもが忙し過ぎて疲れているのです。
学習塾・習い事などの多い子は、肉体的にも精神的にも疲れている子が多く、家で勉強をする余裕と気力がありません。
帰宅するのが七時を越え、ときには九時近くなり、それからごはんを食べて、風呂に入って、眠気と戦いながら勉強をしなければならないという子もいます。
夜寝るのが遅くなり、起きるのも遅いので、学校の授業でボーとしていても当然です。
クラスの子どもが無理なくできる宿題が頻繁にできない場合、まず子どもの生活のリズムが崩れていないかどうか、振り返ってみる必要があるでしょう。
無理なく家庭学習ができる生活習慣をつくろう。