子どもが明らかに悪いことをしていれば、親は本気で叱らねばなりません。
叱られることによって、子どもはこういう場面で、こんなことをしたらダメなんだと具体的にわかります。
叱られなければ、いつまでたってもわかりません。
たとえば、バスや電車で走り回ったり騒いだりするとき。
たとえば、人が傷つくような悪口を言ったとき。
たとえば、わがままや怠惰から自分の義務をさぼったとき。
やはり、叱った方がよいのです。
叱るというのは、たいへんなエネルギーを要することです。
叱れば、一時的に、子どもの感情を害し、子どもから嫌われるかもしれません。
しかし、子どもを正しく導くためには必要なことです。
本当の叱責は、子どもの将来を考えた深い愛情から生まれるものなのです。
ですから、叱るときには、本気で叱らねばなりません。
本気と言っても、叱るときの説教を長くするのではありません。
叩いたり、食事をぬきにしたする体罰に頼るのでもありません。
厳しい表情と強い語調で、子どもと目を見合わせ、短くピシッと言ってやるのです。
そして、必要であれば短く理由を付け加えます。
このとき、もしあなたがお母さんであれば、「そんなことをすれば後でお父さん怒られるよ」とか「ほら、あの怖そうなおじさんに叱られるから静かにしなさい」などと、人を使って叱るのはやめた方がよいでしょう。お母さんの信念と責任において叱るのです。
また、「お母さんはあなたのためを思って叱っているのよ」などと言い訳がましいことを言言う必要もないでしょう。
そんなことを言われなくても、子どもは自分に向けられた叱責の言葉が、お母さん自身虚栄のためのものか、自分のためのものか、いずれわかります。
また、叱ったすぐ後は、どうすればよいでしょうか。
親の方はいつまでも叱ったときの感情を引きずっていることが多いのですが、小さい子どもは叱られたことをすぐに忘れてしまいます。
ケロッとしている子どもを見て、「この子、本当にわかってるのかしら」と思うものですが、親もすぐに気持ちを切り替えて許してあげましょう。
子どもはまた同じ過ちを繰り返すかもしれせんが、叱られたそのときは、子どもも「本気で叱られたから悪いことだったんだな」とわかっています。
違う場面で同じようなことしたら、また叱ってやればよいのです。
子育ては、ほめたり叱ったりする愛情の繰り返しです。
★叱った後はすぐに許そう