男子は真面目な話が長く続くと退屈して、女子のようには集中して聞いてくれません。
男子に話を聞かせるためには、彼らの注意をひきつける工夫や努力をしなくてはなりません。。
小学生なら以下に述べるような教育技術があります。
これらは、多くのベテラン教師が経験的におこなっていることです。
そして、ご家庭でもいくらかは応用できるかと思います。
1.最初に、視線を話者に注目させる。(「話は目で聞く」)
小学生男子の場合、目がこちらを向いていなければ、まず聞いていないと思った方がいいでしょう。
そして、男子の場合、窓の外に鳥が飛んでいるとか、廊下で物音がするとかで、すぐに気を散らして視線が泳いでいまうのです。
そういうときは、まずその子は話を聞いていないのです。
ですから、話は目で聞くを徹底させることが大切です。
大事なことを1対1で話すときにも、頭の上から話してもメッセージは素通りしてしまいます。
しかし、腰を落として子どもと目と目を合わせて話すと、しっかりと伝わります。
2.指示をするときは、「一時に一事の原則」で短く、簡潔に。
子どもはいっぺんにいろいろなことを言われても頭に残らないし、できません。
特に男子は、脳が一つのことに集中するように働くので、なおさらそうです。
学校では、全員に同じことをさせる場合には、「一時に一事の原則」を使います。
「全員起立」
「教科書の34ページを開けなさい」
など、指示は短く簡潔に伝えます。
であれば、どの子も集中して動けます。
特に、男子には有効です。
3.どうしても伝えたいことは復唱させる。
結局、何が伝えたかったのか、言葉を頭に残したい場合は、復唱させるとよいと思います。
「一つ、人を思いやって行動します」
「一つ、人を思いやって行動します」などのように・・・
4.興味のある話題を選ぶ。
子どもが興味をもてることを話題にするといいです。
たとえば、友だちを大切にしようという話でも、「アンパンマン」を主人公にする話なら子どもはよく聞きます。
「アンパンマンは、困っている子がいたら助けてくれるよね。
お腹が減っている人には、 自分の顔を食べさせるくらいだ。
まわりに困っている人がいたら、
君もアンパンマンみたいな友だちになって助けてあげよう」という具合に。
5.できるだけ表情を豊かに話す。
男の子は表情を読むのが苦手なので、手振り身振りを交えて話す方がより伝わります。
朝の会などで、教師が暗い堅い表情で「今日もがんばろう!」と言っても、あまり子どもたちの心には響きません。
でも、笑顔で、こぶしを握って「今日もがんばろう!」と呼びかければ、子どもたちも元気になれます。
中には、自分も両手でこぶしを作って「がんばるぞ!」と返す子もいます。
ご家庭でも笑顔で子どもに話しかけると、子どもは親の顔をよく見てくれるし、元気になれます。
6、ものを使う。
ものを手にもって、ものを見せながら、あるいは動かしながら話をすると、注意をひきつけらます。
あるいは、ものを隠しながら……。
小説の話ですが、この方法で、灰谷健次郎著『兎の眼』の小谷先生は、低脳児だと思われていた鉄朗に生まれて初めて作文を書かせました。
7.絵や図を有効に使う。
重要な言葉をフラッシュカードにしたり、黒板に書いたりして、注意を促すのは有効です。
8.活動のある授業にする。
ときどき動作を交えたり、活動をさせたりしながらの授業なら、
男女ともにのってきます。
特に男子は、じっと椅子に腰掛けて話を聞くのは苦手なので、
効果的です。
話を聞くべきときに聞かせるには、逆に聞かなくてもいい時間を増やすのです。
9.聞く力を高めるために、ときどき絵本や物語の読み聞かせをする。
話だけなら退屈する男子も、「紙芝居」には、すごく集中して聞きます。
良質の「紙芝居」や「絵本」には魔法の力があります。
読み聞かせをすることで、聞いて理解できる力を養い高めていくのです。
以上、述べてきたことは、もちろん男子だけでなく、女子であまり話に集中できない子にも応用できます。
女子だけなら、物語の主人公を女の子にしたり、女子が興味のある人や分野などの話題にしたりすると、より興味をもち、効果的です。