▼「英雄的瞬間」という、一般には耳なれない言葉から説明しましょう。
私が勤務した小中学校では、毎年必ず、子供たちに「英雄的瞬間」ということを教えています。
一年間に数回、特に長期休暇である夏休み・冬休み・春休みの前には必ず、休暇中の「モット-(努力目標)」として指導します。
それを毎年やってるわけですから、九年間学校に通う多くの子供たちは、 「耳なれない」どころか、タコができるぐらい聞かされているわけです。
▼こんなにもこの「英雄的瞬間」の指導を続けているのは、これが青少年の育成のみならず、彼らが大人になっても 非常に大事な考えだと確信しているからです。
そして、「英雄的瞬間」は、一回聞いただけでは何の役にも立たたず、実行に移し自分のものとして習慣づけるために、繰り返し思い出すことが必要だからです。
▼ 「英雄的瞬間」とは何でしょうか。それは何かよいことを果たすために自己の弱さと英雄的に戦う短い時間のことです。
この時間は短ければ短いほど良いとされます。
できれば一瞬。
この瞬間に素早く英雄的に戦い、勝ちを収めれば、 意志はますます強く堅固になり、多少の困難にもめげず、自分の目標を達成できる人になります。
▼ところで、この瞬間は一日の中にどれぐらいあるのでしょうか。
いくらでもあります。物事を始める時、終える時には、いつもあるのです。
まずは、「朝の英雄的瞬間」。
ぐずぐずしないで、パッと寝床から跳ね起きることによって、この戦いに勝つことができます。
しかし、これはなかなか難しいことです。やってみてください。
目がさめてから数秒以内にふとんから抜け出るのを目標とします。
それを、ふとんの暖かさが恋しい真冬でも、 肉体が疲労困憊する日でも続けるのです。
意志は、日ごとに強く堅固になっていきます。
▼朝の英雄的瞬間に負けるとすれば、原因の多くは「夜の英雄的瞬間」を戦っていないことにあります。
「夜の英雄的瞬間」とは、逆に「決めた時間に就寝すること」です。
これを守らずに、夜ダラダラと起きていれば、体に必要な睡眠時間を確保することもできず、睡眠不足になってしまいます。
朝、起きるのがきつい、どうも体調がすぐれないという状態に陥ることもあります。
また、良くないと思いながらダラダラと無為に時間を過ごしてしまう弱い意志では、朝の戦いに勝てる見込みはまずないと言えましょう。
ですから夜、決めた時刻に就寝することは意外と大切なことなのです。
▼その他、勉強や仕事を始める時、終える時の英雄的瞬間。
テレビや好きな娯楽を止める時の英雄的瞬間などたくさんあります。
つまり「英雄的瞬間を生きる」とは、「なすべき時に、なすべきことをなす」という生き方のことです。
★今日のプラスアップ1★
パッとすぐに行動しよう。
意志が強くなって、物事がうまくいくようになります。
★「10カウントまでに起きよう」★
朝、決めた時間に起きることができれば、
その後の今日の計画もうまくいきます。
「パッと起きよう」
と言って難しい子にはこう言いましょう。
「10カウントまでに起きよう」
10カウントまでに起き上がれば、負けではありません。
強いボクサーは、辛くても立ち上がります。
自分でカウントしながら、10までのうちに起き上がれたら、
今日は朝から勝利です。