徳を育てるヒント

テレビと上手に付き合える子になる7つの方法

「テレビと上手に付き合える子になる」をテーマに述べていきたいと思います。

これは、スマホとの付き合い方にも通じることがあるでしょう。

現代では親も子もテレビを見ない生活は考えられません。

テレビ自体は素晴らしいものです。テレビがどれだけよいものかは、改めて述べる必要がないほど、世の中に広く浸透しています。

様々な素晴らしい情報を映像や音声とともに提供し、私たちの生活を豊かで便利にしてくれています。古今東西の文化や娯楽を提供し、私たちの生活をとても楽しいものにしてくれます。

しかし、気をつけなければ、「育ち盛りの子どもに害を与える」こともあるのがテレビです。

そのことを、まず親や教育者は知っておく必要があるでしょう。

目次

長く見すぎると子どもに悪影響がでる

「テレビは子どもに害を与えるか?」という仮説に対して、視聴時間が長ければ害がある、と言えます。

問題は、見すぎると子どもに影響がでるということです。

以前勤めていた学校で、私のクラスの小学6年生を対象に次のような調査をしました。

1.1日のテレビ視聴時間(10月末の1週間の平均)

1週間に見た番組の時間をすべて記録させ、その平均をとりました。

2.学力テスト(11月末に実施)

5教科合計500点満点のテストです。

本校では、国語・算数・理科・社会に加えて英語のテストも行います。

3.自主勉強時間(冬休み2週間 12月末~1月初旬)

宿題以外に自主的に学習した時間を毎日記録させました。

そして、その関係を考察したのです。

▼その結果、次のようなことがわかりました。

●テレビの視聴時間が長い子は、自主的に勉強できなくなるし、学力も低くなる。

以下に、ご参考までにもう少し詳しいデータをあげます。

▼テレビ視聴時間と学力テストの関係

テレビをあまり見ない子(1.5時間以内)の1カ月後の学力テストは、長く見る子(1.5時間以上)よりも、50点以上も高かった。

 

10月のテレビの視聴時間が一日平均1.5時間以内だった子は、学力テストの平均点は、375.9点。

10月のテレビの視聴時間が一日平均1.5~3時間以内だった子は、学力テストの平均点は、326.3点。

10月のテレビの視聴時間が一日平均3時間以上だった子は、学力テストの平均点は、315.9点。

▼テレビ視聴時間と冬休みの自主勉強の関係

自主勉強を毎日60分以上できる子は、2カ月前にはテレビをあまり見ていなかった。

逆に、テレビを長く見ていた子は、自主勉強の時間が少なかった。

毎日60分以上できた子11人の10月の1日のテレビの視聴時間は、91分。

一日の平均が30分以上60分未満の子は、10月のテレビの視聴時間130分。

30分未満の子は、10月のテレビの視聴時間183分。

▼ただ、これはあくまでも、ある学校のある1クラスの調査結果です。

今後、このような研究をどこかの公的な教育研究所が広く行っていくことをして期待し ています。

しかし、それを待つまでもなく、多くの教師は私と同じような意見を持たれるでしょう。

●テレビの視聴時間が長い子は、自主的に勉強ができなくなるし、学力も低くなる。

これは、この調査と23年間教師として子どもに接してきた経験からの確信です。

▼ですから、私が提案する「テレビと上手に付き合うコツ」の第1番目は、まずテレビの視聴時間を少なくする、ということなのです。

★今日のプラスアップ1★

テレビの視聴時間を少なくする。

その方が勉強ができて、学力も上がります。

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テレビの視聴時間を減らす方法(私の体験)

私の子どもの頃の体験をお話しします。

▼小学校4年生の2学期の漢字のまとめのテストで、悲惨な点数を取りました。

30点。

たまたま取ったのではありません。

2学期に習った漢字すべてを対象にしたテストでしたからそれが実力です。

2学期に学習したはずの漢字の30%しか習得していなった。

つまり、それだけ日々の学習をさぼっていたのです。

といっても、学校を休んだことはなかったし授業をさぼったわけでもなし、宿題もやっていたと思います。

でも、自分でもかなり見過ぎだなーと自覚するくらい、テレビは見ていました。

学校から帰ってくるとずーっと・・・。頭がボーとするくらい。

▼私の母は、普段は穏やかな人ですが、このテストの結果には烈火のごとく怒りました。

というか、ヒステリックになっていました。

日ごろの私のだらしなさに対する鬱憤がついに爆発したのでしょう。

「お前は、テレビの見過ぎだ!」

と言ったあとは、ここぞとばかりに、日頃の私の態度についてああだ、こうだと、ガミガミ言いたい放題。

一人盛り上がってくると、最後にこう言い放ちました。

「もうこれから、一切、テレビを見たらダメ!」

「そ、そんな・・・」

▼もしも私がこのまま育てられていたら、いったいどうなっていたのでしょう。

テレビを見られない生活なんて考えられませんでした。

「プロ野球中継」「大相撲」「プロレス」「キックボクシング」「タイガーマスク」「巨人の星」「ひみつのアッ子ちゃん」「キックの鬼」「サインはV」「ど根性ガエル」「奥様は魔女」「8時だよ!全員集合」「キーハンター」「てなもんや三度傘」「紅白歌のベストテン」「スター誕生」「ヤングオーオー」「太陽にほえろ!」「水戸黄門」・・・

あんな楽しい番組がもう見られないなんて・・・

そんな、そんな・・・

▼このときの窮地を救ってくれたのが父親でした。

父親は、特に教育に見識があるわけではなかったのですが、母親の興奮ぶりを冷静になだめるように言いました。

「そりゃあ、無理だ。まったく見ないのは無理だ」

さらにこうアドバイスしてくれました。

「一週間の番組表に、自分で赤ペンで印をつけておいて、それだけ見るようにしたらいい」

▼(おお、助かったー)と思った少年の私が喜んでそのアドバイスに従ったのは、言うまでもありません。

早速、番組予定表に、自分で見たい番組に赤ペンで印をつけて、机の前に張り出していました。

それでもまだ多かったのですが、どうでもいいような番組をついつい、ダラダラと、見てしまうことは少なくなりました。

おかげで視聴時間はグーンと減りました。

★今日のプラスアップ1★

一週間の番組予定表に見たい番組だけ印をつける。

 

日本小児科学会による提言

では、次に、2004年に日本小児科学会が発表した提言をご紹介しましょう。

▼ご記憶にあるかと思いますが、日本小児科医会が2004年2月に、日本小児科学会が4月に、次のような子どものテレビ視聴を抑える提言を発表しました。

 

●日本小児科学会の提言●

〈1〉2歳以下にはテレビ・ビデオを長時間見せない

〈2〉つけっぱなしにせず、見終わったら消す

〈3〉乳幼児に1人で見せない

〈4〉授乳中、食事中はつけない

〈5〉ビデオは繰り返し見ないなど、適切な使い方を身につけさせる

〈6〉子ども部屋には置かない

 

▼少し補足します。

提言をまとめた小児科医の武居正郎医師は「2歳まで」の根拠について、「ゼロ歳から2歳くらいまでは親子のスキンシップや言葉かけが心や言葉の発達に重要な時期であること、またこの時期は子どもが自発的にテレビを見ることがなく親がコントロールできる」ためだと説明されています。

また、テレビゲームで遊ぶ時間なども加えた総視聴時間を「2時間まで」としたのは、1999年に、アメリカの小児科学会が発表した勧告「2歳以上は良質な番組を1―2時間程度に制限すべきだ」を参考にしたとのこと。

▼「専門家の間でも科学的な裏付けが十分かどうかの議論はあり、一つの目安である。ただ、長時間テレビを見ることが発達に良いというデータはない」と武居医師は言われています。

小児科学会の提言が踏み込んでいるのは、番組の内容が良くても、長時間の視聴は「言語発達が遅れる危険性がある」とした点です。(参照:2004.5.12「読売新聞」)

▼これを受けて、どう考えられるかは自由です。

私は医師ではないし、科学的な根拠ももっていませんが、

自分の経験と小学生で長時間のテレビ視聴が害になることを考えても、「日本小児科学会の提言」は常識的だと判断しています。

「テレビやビデオを長時間見せるのはよくない」

では、積極的にどうすればいいのか?ということは、各家庭で親が考えていかねばならないことです。

▼たとえば、テレビやビデオに子守をさせるのではなく、手間隙かけて絵本を読んだり一緒に遊んだりすること。

そういう親子のふれあいは、子どものコミュニケーション能力は発達させます。

また親子間の愛情を豊かに育てます。

それは、子どもの将来のために価値あることではないかと私は考えています。

★今日のプラスアップ1★

テレビを見せるかわりに親子がふれあう時間をもとう。

子どもにとってもっと価値ある時間になります。

子どもがテレビをあまり見ないようにする方法

▼さて、最後は、「日本小児科学会の提言」と重複しますが子どもがテレビをあまり見ないようにする方法を述べます。

1.テレビのチャンネル権は、原則として親がもつ。

子どもが勝手に見るのではなく、親の許可をとってみます。

また同じ時間帯に親が見たい番組と子どもの見たい番組が重なれば、親の意向を優先します。

2.子ども部屋には絶対に置かない。

置けば、子どもにテレビの誘惑、テレビ漬けとなる機会を与えるようなものです。

親が与えておいて、「あまり見ないようにしなさい」と言っても無理です。

最初から、子ども部屋には置かない。置けば勉強の邪魔になるだけです。

3.極力、テレビはつけない。

特に食事中につければ、親子の会話が希薄になります。

また、誰も見ていないのに、つけっぱないししないことも大切です。

4.我が家の「ノーテレビデー」(まったくテレビを見ない日)を作る。(週に1回、月に1回とか)

その代わり、家族で海や山に行くとか、ドライブするとかして楽しみ、家族間のつながりを強める。

5.テレビ以外の楽しみをもたせる。

(絵)本を読んだり、体を動かして遊んだりすること。楽しみながら、子どもが成長できること。

6.毎日、机に向かってきちん勉強させる習慣をつけさせる。

宿題であっても、家で勉強する習慣があれば、テレビは見なくなります。

▼以上のようなことは、小学生の間までにしつけておくことです。

小学生のときにできていれば、中・高校生になっても大丈夫です。

自主的に価値あるものを選択できるようになる能力と習慣は、小さいうちからの親の働きかけ如何によるのです。

 

▼以上、テレビとの付き合い方をわたしの経験も踏まえて、いくつかのことをご提案してきました。

もちろんこれら全部をする必要はなく、ヒント(全部で7つ)を並べたまでです。

何か1つでもお役に立てばうれしく思います。

★今日のプラスアップ1★

テレビのチャンネル権は、原則として親がもつ。

長い記事をご覧くださりありがとうございました。