子ども部屋には気が散るものがいっぱい?
小学生のうちは、勉強の良い習慣をつけることが大事です。
その習慣が中学校・高校で後で生きてくるのです。
習慣がついていなければ、中学生になって急に勉強量が多くなった時に、小学生のときの違いにギャップ(「中1ギャップ」)を感じて伸び悩む子は珍しくありません。
ただ子ども部屋をあたえ、机を置き、椅子に座らせれば、子どもが集中して勉強できるかというと、必ずしもそうではありません。
子ども部屋にはマンガ、おもちゃ、集めているカードやガラクタのようなもの、あるいはパソコンなど、気を散らすものがまわりにたくさんあります。
男の子は、とくにおもしろいものが大好き。すぐに気を散らしてしまうでしょう。
これでは、勉強部屋に居ても勉強の良い習慣はつきません。
意外にもリビングのほうが勉強しやすい?
では、どうすればいいかというと、リビングやキッチン、親の近くで勉強させるのです。
私が受けもった小学生で、ほとんど宿題を忘れない子の多くは、低学年のうちはリビングで勉強していました。
「そのほうが集中できる」とその子たちは言っていたものです。
リビングやキッチンではお母さんが近くでご飯をつくっていたり、洗濯物をたたんでいたり、動きまわっています。
でも、それはいつものことなので、たいして気にならないそうです。
むしろ、「お母さんの姿が見えるほうが、なんとなく落ち着く」し、「わからないところがあったら、教えてもらえる」と、その利点を話してくれました。
これは教室で、子どもたちに自習をさせているときと似ているなあと思いました。
教室での自習のときでも、教師がいるだけで何も言わなくても、子どもたちの集中度は全然違うからです。
宿題が自分でやれて、家庭学習の習慣が定着するまでは、勉強部屋でなく、リビングやキッチンで勉強させてもよいと私も思います。
小学生の間において一番大事なのは、毎日わずかでも家庭学習をする習慣が身につくことです。
お母さんの目が届き、子どもも落ち着けるところのほうが、集中して勉強しやすいのです。
親ができることは勉強しやすい環境づくり
子どもの家庭学習の習慣づくりには、親の働きかけや支援が欠かせません。
子どもに「勉強しなさい」という前に、考えていただきたいのは、子どもが勉強しやすい環境を整えてあげることです。
たとえば、誰かがそばでテレビを見ていると、子どもは気が散ってしまうので、子どもが勉強をしているときはテレビを消しましょう。
そうすると、もっと集中して効率よく勉強ができますし、けじめもつけられます。
また、毎日でなくてもよいので、子どもが勉強するそばで、家族の誰かが本を広げたり、書き物をしたり、知的な作業をしたりすること。
横でいっしょに勉強している人がいると、モチベーションが上がって、もっと集中できます。
さらに、ちょっとむずかしいかもしれませんが、食事を始める時間を決めること。
これは勉強とあまり関係がないようですが、じつは大いにあります。
食事の時間が決まっていると、帰宅後の生活のリズムがつくりやすく、子どもは勉強しやすくなります。
ことに小学生の高学年以上から中学生頃になって、本格的に自分で学習計画を立てて試験勉強をするときに、効力を発揮します。
食事の時間が決まっていると、計画をつくるときに一日のタイムテーブルが立てやすくなりますし、計画を実行しやくなるのです。
子どもが家庭学習の習慣をつけられるかどうかは、親次第です。
それが将来に獲得していく学力を方向付けます。
リビングで勉強して学習習慣をつける。