男の子はあまり話をしない?
お母さんの悩みとして、男の子があまり話をしてくれないということがあります。
幼稚園や学校から帰ってきて、「今日は、どうだった?」と聞いても、せいぜい「たのしかった」「おもしろかった」という程度のようです。
「何がたのしかった?」「何がおもしろかった?」と聞いても、「いろいろ」「わかんない」というあいまいな返事が返ってくるのが男の子です。
この点、女の子は、違います。
「お母さん、今日おひるやすみにね、おにごっこして遊んだんだよ。とも子ちゃんが転んで、みんなしんぱいしたけど、先生がほけんしつにつれていってくれたの。それで、ほけんしつでおくすりぬってもらって、とも子ちゃんも、またおにごっこしたの。ドキドキしたけど、楽しかったなあ。それからね……」と、休む間もなくしゃべります。
この男の子と女の子の会話量の違いは、中学、高校になっても変わらないようです。
もちろん個人差はありますが、これは男の子と女の子の脳(言語中枢)の違いによります。
男の子の会話量が少ないからといって、心配することはありません。
会話はキャッチボール。たがいに受け止めあおう。
ただ男の子がしゃべらないからといって、お母さんが代わりにしゃべりすぎると、男の子の言語能力を伸ばすチャンスを逃してしまいかねません。
たとえば、「先生にほめられたよ」と言ったとき、お母さんの受けとめ方で、子どもの話し方は変わります。
お母さんには、「先生にほめられたよ」だけでは、もちろんまったく何のことかわかりませんね。
そんなとき、「何をほめられたの?」「どうしてほめられたの?」「何て言ってほめられたの?」と、知りたいことを一方的にたたみかけるような質問をしがちです。
これでは男の子は話しづらくなります。
また、「ほんと?」「冗談でしょ」などと言って疑ったり、「あら、めずらしいわね」「どうせ、みんな、いっしょにほめられたんでしょ」と言って否定的に受けとめたりするのも、アウトです。
プライドを傷つけられ、無口になります。
こんなときは、まずはお子さんの言葉をそのまま受け止めてあげてください。
「そう、ほめられたの」
「うん」
「よかったね。うれしかった?」
「うん。うれしかった」
「おかあさんもうれしいな。でも、ほめられただけじゃ、よくわからないな」
そうしてお子さんをじっと見つめて待っていれば、何か言ってくれるものです。
「やすくんがけしごむ、わすれたんだよ」
「そう、やすくんがけしゴム、わすれたの」
「うん、それでこまってたの」
「そう、けしゴムがないから、やすくんはこまったんだ」
「うん、だからぼくがかしてあげたんだ」
こんなふうに、一つひとつ受け止めることで、無口な男の子でもポツリポツリとでも話してくれるものです。
子どもの会話力は親次第で伸びる
親が子どもの話を聴いてあげると、子どもの会話能力はだんだん向上していきます。
もちろん、幼稚園や学校でも子どもは会話能力を伸ばすことができます。
それでも、1クラス30人もいる中では、授業中にすべての子が発言できるわけではありません。発言したとしても、一言か二言。
先生も一人の子の話を個人的に聞くことは、特別に時間をとらなければむずかしい。
それが実情です。
けれども、親はわが子の話を1対1で聞けるチャンスは、朝夕の食事のとき、おやつのとき、あるいは車の中などと、けっこうあるのです。
そういうときに親が子どもの話に耳を傾けてやれば、会話能力をぐんぐん伸ばすことができます。
親が聞き役にまわる。