効果的なほめ方のヒント

子どもの性別を考えてほめる

当然ながら子どもはひとりひとり違う個性をもっていると同時に、性別、それぞれの家庭の中での立場、発達段階が違います。

それらを考慮していないと、ほめたつもりでも子どもの心を傷つけることもあります。

逆に一人ひとりの子どもに合わせてほめることができれば、同じほめ言葉でもより効果的に子どもを伸ばすことにもなります。

ここでは、子どもの性別によるほめ方の違いを考えていきましょう。

例としてあげたものは絶対的な基準ではありませんので、目の前の子どもをよく見て、その子に応じたほめ方を考えていく際の参考としていただければ幸いです。

目次

子どもの性別を考えてほめる

男女の違いを認めながらほめる

男と女の体つきが違うように、脳の働きが違うことが最近の研究でわかってきました。

脳の働きの影響もあって、男の子と女の子は、その成長過程・興味関心・得意なこと・学習態度などが違います。

一般に女の子の成長の方が早く、小学校4年生から中学2年まではそれが続きます。同じ教室で学習させると、同学年の子なら、女の子の方がませていて、男の子は幼く思えてきます。

興味・関心も違います。男の子は、算数の図形、理科の実験、昆虫、絵でも、車や電車など動くものを好んで描きます。歴史でも戦国期や地理が好きです。

一方、女の子は算数では計算を正確にでき、理科なら花、植物、絵は人物や草花などを好んで描きます。

女の子は一般に言語の能力が高く文章読解、作文が好きで得意になります、男の子は空間認知能力が高く、パズルはゲームなどで図形処理が得意です。

学習態度も違います。コツコツ真面目にきちんと学習できて着実なのは、女の子。

同年代の男の子は集中力に欠けますが、いったん乗り出すと急にやる気を出して急上昇することあります。

それぞれの特性を生かし、苦手なことを叱るよりも、「〇〇が好きなんだね」「〇〇が得意なんだね」と興味があること、得意なことをほめて伸ばしたいものです。

ポイント1 その子の得意なことを認めてほめて伸ばす。

 

男の子をほめる

男の子の落ちつきがないのは、好奇心の現れでもあります。いったんおもしろいことをみつけると夢中になって追求していく力を男の子はもっています。

しかし、男の子は、女の子よりも成長が遅いので、同年代の女の子の中では萎縮して劣等感をもってしまうことがよくあります。

まず、女の子と比べて「どうしてあなたはできないの」と叱らないことです。
「させなけばならない」「できなれければダメ」という母親の感覚で押さえつけしまうのはよくありません。

男の子を伸ばすためには、興味や関心がもてるように誘導してあげること。
本が好きになってほしいなら、男の子が好きな怪獣や乗り物などが登場する本や冒険物の本などを感情たっぷりに読んであげれば「おもしろい」と身を乗り出してきます。

興味をもったことには、「図鑑で調べてごらん」とか「ネットでいっしょに調べてみようか」と手段を教えて、自分で調べられるようになったら、「よく調べられたね」「よく知ってるね」とほめてあげます。

国語の音読や漢字の練習など、女の子が得意とすることを男の子は苦手とします。

国語は基礎科目ですから、退屈であっても苦手であってもやらなければなりません。
男の子の場合は、特にほめて興味と自信をもたせることが大切です。

「声が大きいね」「元気よく読めたね」「句読点ではっきり区切ってよめててるね」「難しい漢字書けるようなったね」「漢字の成り立ちまで知ってるの、すごい」など、どんどんほめてのせることです。

女の子と比べて成長が遅くとも、親はゆったりとして気持ちで、子どもの成長を信じて待つことが大切です。

ポイント2 男の子は興味・関心をもっていることをほめて伸ばす

女の子をほめる

女の子は、ある時期の男の子のような急成長を見せませんが、コツコツ地道に努力でき、着実に伸びていけるのが特長です。

しつけの行き届いた女の子は、学力も高くなります。家事を手伝ったり、行儀よくふるまったりする中で、さまざまな問題に対処して解決できるようにもなります。

ですから、お手伝いの仕方にも注目して、「お皿がきれいに並んでるわね」「お料理、手伝ってもらうとおいしできるわ」と具体的にほめましょう。

また、礼儀作法も、「とってもお行儀よく振舞えたね」「どこに出しても恥ずかしくないわ」などと、ほめてあげましょう。

また、女の子は物事に対する感受性が繊細で、感じたことを表現する力も豊かです。
親はその気持ちに寄り添い、受け入れることでその感受性や表現力を伸ばしていくことができるでしょう。

本を読んだ後に感動しているようであれば、「ほんとにいい本ね」「お母さんも感動したよ」となどと共感してあげます。

絵を「きれいにかけたね」「色の使い方がいいね」、作文を「よく見て書けたね」「自分の気持ちがよく書けてるね」などとほめてあげます。

女の子は些細なことでもほめられられると、とても喜びます。

特に、目立ないで真面目に努力している子は、「ノートを丁寧に書いてるね」「姿勢がいいね」「掃除をいつもきちんとしているね」など、その子にとってもまわりの人にも当たり前のようなことをほめてあげるとよいでしょう。

いつもきちんとしている子は意外とほめられていないものですから、大きな励ましとなります。

ポイント3  女の子は地道にできていることをほめて伸ばす