あとかたづけができるようにほめる
ポイント1 靴を脱いだ後、そろえるようにほめる
しつけ3原則をいうものがあります。
これは、半世紀以上も前から、神戸大学名誉教授の森信三先生が提唱されて以来、あらゆる教育現場に広がっていきました。
それは簡単にいうと次の3つです。
1.あいさつ
2.返事
3.あとかたづけ
これらを徹底すれば、他のことをあれこれ欲張ってしつけなくても、しっかりした子に育つというのが、森信三先生のお考えです。
初めは半信半疑だった私も20年もの教職経験を経て、その考えに賛同できるようなりました。
あいさつで人間関係のコミュニケーション能力が磨かれ、「はい」という返事で素直な心になり、後かたづけで責任感が育っていきます。
任されたことを責任感をもって最後までするということは、勉強や仕事をするうえで、大人になっても大切なことです。
この責任感は、子どもが小さいうちから「あと始末・あとかたづけ」の習慣をしつけることによって育てていけます。
具体的なこととして、まずは、靴を脱いだ後、きちんとそろえておくこと。
これができたら、「靴がきちんとそろってるね」「お行儀よく靴が並んでるわね」などとほめてあげましょう。
ポイント2 イスを元に戻せるようにほめる
「あとかづけ」のもう一つの具体的なものは、席を立つときにイスを元に戻すこと、です。
実は、教室の中でガサガサと落ち着きのない子はこんな簡単なことができないものです。
逆に、席を立つときにイスを元に戻す、つまり自分の使ったものを元に戻すということを動作のけじめとしてできる子は、不思議と生活態度や学習態度が落ち着いてきます。
これらのことは、できていないときに叱ってしまいがちですが、むしろできているときにほめてあげた方がお互いに気持ちがいいし、効果的です。
「イス、元に戻ってるね」「イスが戻ってると気持ちがいいな」「しっかりしてきたね」などとほめると、次第にできるようになります。
ポイント3 使ったもの元に戻すようにほめる
さらには、脱いだパジャマ、こぼしたおかずの後始末。遊んだ後のおもちゃのかたづけなどいろいろありますが、要は、使ったもの元に戻すことです。
できていないときに、イライラして叱ってしまいがちですが、むしろ親が手本をみせ、やり方を教え、できているときを見つけて、ほめてあげた方が効果的です。
親がかたづけ上手ですと、後かたづけの美的感覚を子どもにも養われていきます。
「お片づけの後、きれいになってるわね」「お部屋がすっきりしていい気持ち」
美的感覚が磨かれると、その他の後かたづけも親に教えてもらいながら、次第にできるようになります。
さらに「道具が元通りにきちんと戻してあるから、使う時に助かるわ」などと感謝しながらほめると、整理整頓されていた方が他の人のためにもなることがわかってきます。
〇 靴を脱いだ後、そろえるようにほめる
〇 イスを元に戻せるようにほめる
〇 使ったもの元に戻すようにほめる