グズグズするときでもほめる
ポイント1 子どもの動作の遅さを受け入れる
お母さんの口癖で多いが「早く早く」です。「早く起きなさい」「早く着替えなさい」「早く食べなさい」と子どものすることを急がせます。
子どもの動作がのろいと、イライラしているお母さんは、「あなたはいつもグズグズしてるのね」「ノロマのノロちゃんね」などと言ってしまいます。
これらは子どもにマイナスの影響を与えてしまうマイナス言葉です。
「グズグズしたらダメよ」と言われれば、子どもは自分がグズだと思ってしまいます。「早く早く」とせかされたら、子どもは自分がかなりノロマなんだと思ってしまいます。
そう思うことで、ますますグズでノロマになります。人間は自分が思い描いている状態になるからです。
でも、考えてみれば、大人より子どもの動作が遅いのは当然です。
慣れない動作に時間がかかるのも当たり前のことです。
ですから、まずお母さんがイライラしないで、ゆったりした気持ちになることが大切です。子どもの動作がどんなに遅く思えても、そのありのままの姿を受け入れることです。
その上で、時間以外のことにも目を向けてみるといいでしょう。
「いま一人でお洋服を着ているのね、えらいわね」「少しもこぼさずに食べられているわね」など、遅いながらもほめることが見つかるのではないでしょうか。
ポイント2 子どもの自主性を育てる
何事も始めるときにはエネルギーを必要とします。
ロケットが飛び発つときには、飛行中の何倍ものエネルギーを使います。
でも、発射に成功すれば、慣性の法則で楽になります。
私たち人間の行動も同じで、始めるときには大きなエネルギーがいるものです。
取りかかりが遅い子に、「早く……しなさい」と命令しても、すぐに始めることは稀でしょう。
仮に実行しても、シブシブするのであれば、子どもの自主性は育ちません。
子どもの自主性を育てるためには、年令が上になればなるほど、子ども自身が自らやりたいと思うようにさせねばなりません。
たとえば、なかなかあとかたづけをしない子に、「また、散らかしたままね。何度言ったらわかるの。早くかたづけなさい」と叱ってさせても、自主的には動く子どもは育ちにくいでしょう。下手すれば、ケンカになるかもしれません。
でも、次のように叱って動かせうとするのでなく、ほめて自主性を育てようと思っていると親子の会話が違ってくるでしょう。
親「〇〇ちゃん、さっき遊んだおもちゃ、出したままね?」
子「うーん(そうだった、まだかたづけてなかった。でも、いまテレビがおもしろいところだから、困ったな)」
親「このままだと、お母さん、お掃除のときに困っちゃうな」
子「(そうか、お母さんも困ってるのか)じゃあ、このテレビ、終わったらすぐかたづけるから。それでいい?」
親「そう、いいわよ。助かるわ。ありがとう」
そして、かたづけた後、「〇〇ちゃんが、自分でおかたづけできるから、お母さんうれしいわ」と言ってあげます。
すると、親子の関係は良好のまま、子どもの自主性は育っていきます。
ポイント3 一つの一つの動作に対するほめ言葉を言う
「早く、早く」とせかされても、子どもの動作が早くなるわけではありません。
「早く早く」とせかして、その場では早くなるかもしれませんが、子どもが自ら動いたわけではありませんから、この次も変わっていません。
子どもに言葉をかけるのなら、今している動作をせかす命令言葉よりも、一つの動作に対するほめ言葉の方がよいでしょう。
たとえば、着替えのときに「あら、ボタンが一人でできたね。じょうずになったわね」と言ってあげます。
食事のときは、「にんじん、残さず食べられたのね」と言ってあげます。
あとかたづけのときは、「遊んだあと、すぐにおかたづけできるようになったわね」と言ってあげます。
動作を早くさせたいのなら、「早いね」とほめてあげた方が効果的です。
「服を着るのが早いね」「前よりも早くなったね」などと言ってほめてやれば、本当にだんだん服を着るのが早くなります。
子どもは、ほめられたことをまたやりたがるからです。
自分から進んでやるので、だんだん早くなるし、上手にできるようになるのです。
〇子どもの動作の遅さを受け入れる
〇子どもの自主性を育てる
〇一つの一つの動作に対するほめ言葉を言う