徳を育てるヒント

「喜び」(小さなことに喜びを見つける)

喜び(小さなことに喜びを見つける)

歌手のレーナ・マリア・クリングヴァルさんは、喜びを見つける達人です。

彼女はスウェーデンの小さな村に、両腕がなく、左足が右足の半分くらいの長さしかないという障害を負って生まれます。

しかし、彼女は子どもの頃からいつも人前で明るくふるまい、何事にもよく努力し、多少不便ながら身のまわりのことは何でも自分でこなせるようになりました。

三歳の頃から水泳教室に通い、スウェーデンの代表として、世界障害者水泳選手権やパラリンピックで好成績を収めました。

また、小さい頃から音楽にも親しみ、ストックホルン音楽大学卒業後、本格的な音楽活動を開始します。

そして、今も世界各地でその美しい歌声によって人々に生きる喜びと勇気を与えているのです。

彼女は障害を不幸だとは考えてはいません。
障害は彼女にとって、自分らしさであり、神様に与えられた自分の個性なのです。

彼女を育てたお母さんは娘についてこう言っています。

「わたしは、レーナ・マリアの母親になれたことをとても誇りに思うと同時に、喜びを感じています。……

私がいちばん感心するのは、どんな小さなことにも喜びを見いだす彼女の能力です。たとえ灰色の日常生活の中でも、『楽しい日になりそうだわ』という彼女のひと言で心が浮き立ったものです。

レーナ・マリアが学校に出かけるとき、必ずなにかひとつ楽しみにしていることがありました。算数の授業であったり、バスに乗って学校へ行くことであったり、楽しみはなんでも良かったのです。……

レーナ・マリアは、どんな小さなあたりまえのことに対しても、楽しみを見つけだすことができたのでした」(レーナ・マリア著『ハッピイディ』)

日本にも、障害を持たれているのに、明るく、喜びにあふれている人がたくさんいます。

たとえば、パラリンピックを目指す方々も、悲しみや困難を喜びや成功に変えていこうと努力しえいます。

彼らは、自分のもっていないものに不平不満を言わず、悲しみに沈んだりしません。

もっているもの、自分に与えられたものに感謝して喜び、それらを最大限に活用して生きています。

自分の限られた能力も、時間も、家族も、友人も、日常生活のすべては神様からのプレゼントです。

人とは違うプレゼントであっても、毎日同じように思えても、私たちは自分の心の持ち方次第で、そこから喜びを見つけることができるのです。

子どもがどんな喜びを見つけるかは、親の考えに影響されます。

親は、子どもといっしょに、毎日の平凡な出来事の中に喜びを見つけましょう。

そうして、どんなことにも、喜びを感じられる心を自分中に育てるのです。

親も毎日の平凡な出来事の中に喜びを見つけよう。