「剛毅」意志の強さは鍛えられる
人間の強さは意志の強さです。
肉体がどんなに衰弱していても、意志が強ければ、人生を前向きに生きていけます。
『長崎の鐘』や『この子を残して』でも知られる永井隆博士は、それらの作品を肉体がボロボロで精神的にも非常に苦しい時期に書きました。
放射線医学を専攻した永井博士は、研究と治療のために自分の体が放射線に侵され、余命あと三年の白血病との診断を受けます。
その直後、長崎で被爆し、愛する妻と家財産を一瞬にして失う運命にさらされます。。
言い尽くせぬ悲しみを抱えたまま医師として多くの人命救助に当たりますが、ついに力尽き倒れてしまうのです。
白血病が体を蝕んでいくさなか、残された二人の幼な子のためにも、敗戦の失意に沈む人々のためにも、博士は病床で自らの意志を奮い立たせます。
「働ける限り働く。腕と指はまだ動く。書くことはできる。書くことしかできない」
そうして、死を目前としながら病床の中で短期間に驚異的な量と高い質の著作を次々と成し遂げました。
平和と愛を願う博士の思いや言葉は、活字となり歌となり映像となりました。
それらが、どれだけ戦後の日本人の心をいやし、励ましてきたかしれません。
人間はどんな状況におかれても、たとえ体がボロボロでも、心を強くもち、前向きに生きていけるのです。
子どもの心を強くするように鍛えましょう。
意志が強ければ、これから先どんな苦しみや悲しみに出会ってもくずけずに、自分の道を歩んでいけるでしょう。
どんな困難や障害にあっても乗り越え、自分の目標を達成できるでしょう。
私が勤務している学校では、子どもたちの意志を鍛えるために、あるひとつのことを教えてています。
聞きなれない言葉ですが、「英雄的瞬間を戦いなさい」ということです。
「英雄的瞬間」とは、何かよいことを果たすために、自分の弱さと英雄的に戦う短い時間のことです。
「英雄的瞬間」は、日常生活の中にたくさんあります。
朝起きるとき、朝着替えるとき、勉強を始めるとき、テレビを見終わるとき、ゲームをやめるとき、夜ねるときなど、その瞬間にすばやく英雄的に戦い、自分に打ち克つのです。
そうすれば、意志はますます強くなります。
これは、一度聞いただけでは役に立ちません。
教師も親も子どもと共に実行し、ほめてやり、ずっと続けていくことが大切です。
私もいくつになっても、死ぬまで続けていきたいと思っています。
心の強さを鍛えよう。