効果的な叱り方のヒント

困った時のヒント(食べ物の好き嫌いが多い)

偏食は、嫌いなものを食べないというだけではありません。
好きなものばかり食べるというのも、やはり偏食です。

最近の子どもの食生活には、砂糖、塩、動物性脂肪の摂取が多く、魚や野菜が少なく、やわらかいものが好きという傾向があるそうです。

そのために、心筋梗塞、動脈硬化予備軍と肥満児を増加させ、かまないことは、あごの発達と歯並びを悪くさせ、視力を衰えさせています。

ミネラル、ビタミンの少ない食事は、骨折、アレルギーを増加させています。
さらには、偏食が体だけでなく心にも大きな影響を与えることが分かってきました。

福山市立女子短期大学の鈴木雅子教授は研究の結果、次のように言われました。

「調査の結果、食生活の内容が悪ければ、子どもはイライラしたり、腹が立つことが増えていました」

子どもの偏食は、生まれた時から現在までの食生活の積み重ねの結果です。
ちょっとしたほめ言葉や叱り言葉だけで、ガラッと習慣が変わるものではありません。

学校の給食でも、子どもの好き嫌いは教師の悩みのタネです。
給食で嫌いなもの、苦手なものが出ると食べられない子どもが必ずいます。

私も子供のころ、給食で嫌いなものがありました。

肉の脂身です。

口に入れると吐きそうになるほど、気分が悪くなりました。

ですから、給食の献立表を見ながら、肉が出る日は前日から学校に行くのが憂鬱でした。

けれども、人間って変わるもので、年齢が上がるにつれて少しずつ食べられるようになってきたのです。

それは、うれしい経験でした。

嫌いなものに悩まなくていいし、おいしいと思えるものが増えてくるのですからね。

子どもは、いまは嫌いでも、だんだん食べれるようになってくるものなのです。

給食で嫌いなものを食べられない子どもに、私はたいていこういうふうに接してきました。

「先生、これ食べられません」
「へえー、どうして?」
「嫌いだから……」

そこで私はニコニコしながら言います。
「そう、嫌いなの。じゃあ、食べなさい」

そう言うと、その子は目を丸くしてキョトンとします。
恐らく、家では「嫌いだから」と言えば食べなくてもいいことになっているのでしょう。

「あのね、嫌いだったら、食べた方がいいんだよ」と、私は重ねて言います。

それは、その子の身体への栄養のためでもありますが、その子の心のありようにも関係があるからです。

食べ物に限らず、人間関係や勉強でも、「嫌い」だとはねつけるよりも、好きになる努力をした方が、その子のためによいと私は思うからですが、そこまでは言いません。

その代わり、嫌いなものを前にして躊躇している子には、「これ、おいしいよ」と言って、おいしそうに食べてみせます。

まわりの人がおいしそうに食べるのを見ると、食べ物はおいしくなるのです。

そして、その子が少しでも食べられたら、「あっ、一つ食べられたね。すごい!○○ちゃん、すごいぞ!」などとほめてやります。

そういうことを繰り返していると、苦手なものでも少しずつ克服していけるようになってくるのです。

大人になっても、目の前の食事をおいしく食べられたほうが幸せです。

長い目で少しずつ食べられるように励まそう。