子どもがウソをつくのにはわけがあります。
ウソをつくとは、事実と違うことを言うことです。子どもの言っていることがときおりウソになるのは、子どもの事実認識が大人よりあいまいで不正確からです。
また、言葉の表現が未熟だからでもあります。
たとえば、「Aくんがぼくのおもちゃをぬすんだ」と親に訴えたとしましょう。実際は、Aくんは、「ぬすんだ」のではなく置きっぱなしにしていたおもちゃを拾い、「これは誰のかな?」と持ち主を捜していたのです。
子どもがAくんが自分のおもちゃをもっているのを見て、これは自分のものを奪ったのだと思い、「ぬすんだ」と訴えました。
このように事実認識があいまいで、言葉の表現が不適切なためにウソになる場合がありますが、本人はウソをついたという意識などありません。
まわりの子どもも未熟なために、本人が間違って言ったことを「あっ、ウソを言った」ととらえてしまう場合があります。
しかし、大人は、「うそを言ったんじゃないよね。間違っただけだよね」とファローしてあげるべきです。
しかし、事実と違うことや言葉が適切でなかったことは教えてあげた方がよいでしょう。
もう一つ、子どものウソの原因として、「親に嫌われたくない」という心理があります。
子どもにとっては、正しいか間違っているかよりも、親に叱られるか否かが重要です。
親が非常に厳しく子どもに完璧を求めるタイプであれば、子どもは自分自身の失敗や弱さを隠すようになります。
たとえば、テストの点が悪いときに、そのテストを親の目にふれないように隠します。
それは、テストの点が悪いからではなく、親に怒られるのがイヤだからです。
これまでに、テストの点でさんざん怒られたイヤな経験があるからです。
失敗を怒られて育ったきた子は、自分の失敗を隠すようになり、自分に都合のよいウソを言うようになります。
小さなウソをつけば、なれっこになり、いずれ大きなウソをつくようになります。
こうして、その子どもの人格に不誠実さの影が形成されていきます。
子どもが正直に自分の過ちを告白するときには、ゆるしてあげましょう。
自分の失敗をゆるしてくれる人には、良かったことも悪かったことも正直に何でも話してくれます。
その中には、もしかしたら小さなウソが混じるかもしれません。
でも、信じてあげましょう。
子どもは自分を本気で信じてくれる人をこれ以上騙そうとはしません。
うそをつく子をゆるし、次も信じてあげよう。