急いでいるときに、子どもがなかなか動かなかったり、動作が緩慢だと、イライラしてくるものですね。
そのためか、お母さんの口癖で多いが「早く早く」です。
「早く起きなさい」「早く着替えなさい」「早く食べなさい」と子どものすることを急がせます。
イライラしているときには、「あなたはいつもグズグズしてるのね」「ノロマのノロちゃんね」などと言ってしまうこともあるようです。
そんなお母さんから、
「ダメだと分かっているんですが、つい言ってしまうんです。どうしたらいいんでしょうか?」
と質問されることがあります。
私は答えはこうです。
「『早く早く』ではなく、『早いね、早いね』と言ってあげればいいですよ」
子どもの動作が大人より遅いのは当然です。
慣れない動作に時間がかかるのは当たり前のことです。
問題は、子どもにあるのではなく、お母さんが忙しくて気がせいてしまうことにあるのではないでしょうか。
イライラしたときに発するお母さんの言葉は、子どもの心にダメージを与えます。
「グズグズしたらダメよ」と言われれば、子どもは自分はグズだと思ってしまいます。
「早く早く!」とせかされたら、子どもは自分はノロマなんだと思ってしまいます。
そう思うことで、ますますグズでノロマになります。
人間は自分が思い描いている状態になるからです。
子どもの動きがにぶくてグズグズしているように思うとき、「早く早く」とせかすのは、
あまりよくないでしょう。
まずお母さんがゆったりした気持ちになることが大切です。
たとえば、子どもを待っている間、好きな歌でも歌うか、本でも読んで、気を紛らせてはどうでしょうか。
言葉をかけるのなら、今している動作をせかす命令言葉よりも、一つの動作に対するほめ言葉の方がよいでしょう。
たとえば、着替えのときに「あら、ボタンが一人でできたね。じょうずになったわね」と言ってやります。
食事のときは、「今日は少しもこぼさずに食べられているわね」と言ってやります。
子どもは、ほめられると、ほめられたことをまたしようとするです。
動作を早くさせたいなら、「早く早く」という言葉を使わない方が賢明です。
「早く早く」とせかして、その場では早くなるかもしれませんが、子どもが自ら動いたわけではありませんから、この次も変わっていません。
動作を早くさせたいのなら、「早いね、早いね」とほめてやったらよいでしょう。
「服を着るのが早いね」と言ってほめてやれば、本当に服を着るのが早くなります。
暗示にかけるという意味合いもありますが、子どもはほめられると自信がつきます。
ほめられたことをまたやりたがるようになります。
自分から進んでやるので、だんだん早くなるし、上手にできるようになるのです。
子どもの一つ一つの動作をほめよう。