ガミガミ叱っているお母さんの話は、長くてクドイのが特徴です。
「もう、あなたはまったくどうしようもないわね。何度言ったら分かるの。また、部屋を散らかしっぱなしにして……。片付けるは、いつもお母さんじゃないの。いつになったら、ちゃんとできるようになるの?」
子どもは、その間、じっと耐えねばなりません。
子どもがその間、お母さんの機嫌をそこねるような素振りすれば、さらに長くなります。
「あなたは、これだけ言われても、まだ分からないの?この前遊びに来た○○ちゃんなんか、とってもおりこうで、ちゃんとできてたじゃないの。どうして、あなたも○○ちゃんみたいにできないの?」
まだまだイライラの納まりがつかないお母さんは、ふと思い出した過去のことも持ちだして、ガミガミを続けます。
「そう言えば、先週もお風呂の後に、脱いだものを散らしっぱなしだったでしょ!パンツもシャツも、洗濯物かごに入れなさいっていつも言っているでしょう。どうして、こんなこともできないのかしらね。それから、ついでに言っておくけどね。この前……」
聞いている方は、もうイヤになってきます。
実は、言っているお母さんも「あんなにガミガミ言わなくてもよかった」と、たいていは後悔するのです。
長い叱責の後、互いにイヤな気持ちになっても、子どもがよくなればいいのですが、あまり効果は期待できません。
子どもは、ガミガミ言われれば言われるほど、その話の内容を覚えていませんし、よい行動への意欲も失せていきます。
これは、学校で教師が子どもに与える指示の効果と似ています。
「今からゴミ拾いをしますが、できるだけ早くたくさん拾いなさい。ゴミ拾いだと思ってなまけないように……。この前、遊んでいて怒られた人がいるでしょう。そして、拾ったゴミはゴミ箱に捨てないさい。ゴミを拾い終わったら、先生がもういいですと言いますから、すぐ席に着くように。いいですか?わかりましたか?返事は?」
このような長い指示では、子どもたちはだれてしまい、やる気も失せています。
自分の指示の仕方が悪いと気づかない教師は、「まったく、人の話も聞けないし、返事もできないし、やる気もないし、なんて子たちだ」と、思っているのです。
教師が子どもに指示を与えたり、注意をするときには、原則があります。
それは、「一時に一事」を短く指示することです。
たとえば、「教室をきれいにしましょう。ゴミを十個拾いなさい」と一つのことを短く言うのです。
そうすれば、子どもたちはサッと無駄なく動くけます。
叱るとき、ご家庭でも、「一時に一事」を原則としてみられたらどうでしょう。
★「一時に一事」、短く叱ろう。