学力を伸ばすヒント

漢字に強い子は日本語に強くなる

漢字の問題をひとつ出します。
「悲しみ」のことを「うれい」とも言いますが、漢字でどのように書くのでしょうか。

では、答えです。

当然ながら、「嬉い」は、大間違い。「憂い」なら正解です。
ただ、「憂い」という漢字には「後顧の憂い」のように「心配」という意味もあります。

もう一つの正解は、「秋」の「心」と書いた「愁い」。これは、「私は愁いに沈んでおります」と悲しみを強調して伝えたいときに適した漢字でしょう。

このように日本語は、多くの意味深い言葉が漢字を基本に作られています。
ですから、漢字に強くなれば内容豊かな言葉をたくさん覚え味わうことができます。
そうすれば、読む力もついて、読書が楽しくなり、国語力はグングンついてきます。

ところで、漢字指導において第一人者である教育学博士の石井勲先生は、長年の研究の結果、次のようなことを主張しています。

1.低学年の子どもほど、ひらがなより漢字の方がやさしい。
2.漢字の読み書きを同時に学習するのではなく、まず読めるようにした方がよい。

ところが、学校の国語教育では、まずひらがなから、そして画数の少ないものから読みと書きを順に習わせることになっています。
また、その学年で教える配当数(一年生なら80字)も決められています。

しかし、実際に教えてみると、漢字を読むことにおいては、小学一先生でも、小学六年生の配当漢字を難なく読めるようになるのです。

いやむしろ、幼い子どもたちは漢字を絵や図のようにイメージでき、どんどん覚えていけます。

私は小学一年生の担任のとき、入学式の日から子どもたちに漢字を教えました。

「学校」「一年生」の読み方を尋ねると、すでに読める子どもが多かったものです。
「四月八日」「月曜日」などは、教えてあげればすぐに読めるようになります。

昔話を語りながら、登場してくる「熊」「お団子」「川」などの漢字のカードを見せていくと、話が終わったときは全部読めるようになっています。

家庭でも、子どもに漢字を教えることができるのではないでしょうか。

机の前に子どもを座らせて、親が横について教え込むよりも、むしろ、親子でいっしょに漢字学習を楽しむという感覚が大事です。
漢字カードやカルタ、絵本など使って、遊び感覚、ゲーム感覚で漢字に親しむように工夫してやります。

子どもが漢字に興味をもてば、「お母さん、あれ何って読むの?」と聞いてきます。
「幼稚園」「学校」「病院」など、社会でふつうに使われている言葉や自分の住んでいる市町村の名前などは、そのまま教えてあげた方がいいのです。

小さくても子どもはどんどん吸収して、漢字を読めるようになっていきます。

★難しい漢字が読めたらほめてあげよう。