豊かな心を育てるヒント

自然は子どもの先生

人間はこの偉大な自然から多くことを学んでいけます。

実際、私たちの祖先は自然から多くのことを学んできました。また、自然から多くの恩恵を得てきました。

古今東西、多くの芸術家が自然への驚きや感動を自分の作品に表現してきました。
自然は、芸術家にとって創造力の源であり、偉大な先生であり続けています。

それは、子どもにとっても同じです。
子どもにとって、自然は驚異に満ちた世界で、そのすべてが教科書であり先生です。

私が勤めている学校では、毎年夏休みに小学一、ニ、三年生の子どもとその親で、一泊二日の親子野外レクリエーションをしています。

これは普段子ども接する機会の少ない父親たちが企画したもので、近くの国立少年自然の家に泊まり、親睦を深めるために、自然の中でさまざまな活動をします。

たとえば、沢歩き、オリエンテーリング、野外炊飯、夜の山道のナイトハイキング、天体観測など、いろいろな活動ができます。

沢歩きというのは、清流にそった沢をただ歩くだけなのですが、それでもたっぷりと自然にふれることができます。

清流にはときどき川魚の群れが銀色に光ったり、沢ガニが突然前をちょろちょろと横切ったりします。

どこからかチョウが飛んで来たり、小鳥のさえずりが聞こえてきたりします。
ゴツゴツした岩陰に一輪の花が風にゆれているのを見つけることもあります。

こういうものの良さは、部屋の中に閉じこもっていては知ることができません。
テレビを見て頭で知ることはできても、実感することはできません。
自分の目で見て、手でさわって、自分の感性で受けとめることでしか実感できません。

子どもは、自然とふれあうことで豊かな感性を育み、自然を大切にする心も養っていけるのです。

夜空いっぱいの星を仰ぎ見ること。山の頂きに立ってはるか遠くを見渡すこと。
海の中をもぐって海中散歩すること。虫やチョウを追いかけて山を走り回ること。
あなたの子どもは、こういう体験をどれだけしてきたでしょうか。

子どもは、自然の中で遊ぶだけで、驚き、感動します。
それは、自然が人間の作る以上の本物の芸術だからです。

子どもは、自然の厳しさにふれ、人間の弱さを経験します。
それは、自然が人間を超える力を見せるときがあるからです。

子どもは、自然にふれることで、楽しみ、癒されます。
それは、自然が人間をも包み込む愛によってできているからです。