人の話をよく聴いて理解してあげるのは、愛情です。
子育てにお疲れのお母さんは、ときにその悩みを夫に聴いてもらいたいと思うことがあります。
男性は、聴くだけでは何も解決にならない、何か解決策を出さなければと考えがちですが、そうではありません。
多くの場合は、お父さんが聴いてあげるだけで、お母さんの疲れは癒されます。
話をしながら、お母さんが自分を客観的に見つめることができ、自分で解決策を見出せることもあります。
何よりも、妻の重荷をともに背負っていこうとする夫の態度に愛情を感じ、感謝の気持ちが生まれ、落ち着きをとり戻すのです。
子どももそうです。
子どもも、親に自分の話をもっと聴いてほしい、わかってほしいと思っています。
たまに、「うちの子は学校のことはあまり話さなくて…」と言うお母さんがおられます。
もっと学校のことを話してほしいのに、お母さんの望むほど子どもが話をしてくれない場合、その理由は二つ考られます。
一つは、話すのが面倒だからです。
お母さんが知りたいことは、「今日の算数の授業では何を勉強したの?」、「先生から注意されたことない?」、「お友達と仲良く遊べたの?」というようなことです。
毎日同じようなことを次々質問されると、子どもは答えるのが面倒になります。
それよりも子どもは早く遊びに行きたい、おやつを食べたいと思っているかもしれないのです。
二つ目に、話せばお母さんが怒るか、ガッカリするか、予測できるからです。
「何を勉強したのか、もう忘れたの?今日は、割り算を勉強するはずでしょう」
「また、忘れ物をして先生に叱られたの?ダメじゃない!ちゃんとしなくちゃ」
「まあ、お友達とケンカしたの?どうして?あなたから何かしたんじゃないの?」
お母さんがガミガミ怒ったり、ウジウジ悲しんだりするのはイヤなので、できれば言わないでおきたいと子どもは思ってしまうのです。
でも、子どもは本当は、話を聴いてもらいたいと思っています。
その話は、お母さんやお父さんがあまり喜ぶようなことではないかもしれません。
子どもは、できればお母さんやお父さんに喜んでもらいたいし、ほめてもらいたいのですが、いつもいつもうまくいくわけではないのです。
「ぼくね、がんばったんだよ。でもダメだったよ」
こんないい訳話を本当は聴いてほしいのです。
子どもが心から打ち明ける話をじっくり聴いてあげるのは、愛情です。
聴いて、理解してあげるだけで、子どもは自分が受け入れられていると感じるのです。