生きる力の強い子どもは、自分自身の立つべき基盤がしっかりしています。
自分の生きる力の源となる心の拠り所があります。
どんなに傷ついても、失敗しても、生きるのに疲れても、安心して自分自身をゆだねられるような自分の還るべき心の家をもっているのです。
逆に、生きる力の弱い子どもには、そのような自分自身の基盤、心の拠り所、還る場所がないか、あっても不安定なのです。
その心の基盤、拠り所、還る場所は、どのようにしてできるのでしょうか。
誰かの愛によって次第に形成されます。
人から愛され、愛を十分に受けることによってつくられていきます。
多くの場合、それは親からの無条件の愛によってです。
しかし、親が子どもを愛していても、その愛が伝わっていない場合があります。
親がどんなに子どもを愛していても、子どもの方は愛されていると感じていないこともあるのです。
親は子どもが成長するにつれ、子どもへの愛に条件をつけることがあります。
たとえば、「今度のコンクールで頑張れば、遊園地に連れて行ってあげるよ」とか「成績が上がれば、おもちゃを買ってあげるよ」とか、条件つきで愛するようになります。
しかし、子どもは、親の期待にいつもいつも十分に応えられるわけではありません。
親は子どもにいっそうの成長を望んで期待を口にするのですが、子どもの方は、「自分は親の期待にそえない」、「こんな自分は愛されていない」と感じ始めます。
「あなたはダメね」「あなたみたいな子は、お母さんの子どもじゃないわ」と人格を否定されるような言葉を聞くとき、自分の存在価値を否定された気にもなります。
ひどく落ち込むときには、「こんな自分はダメだ」「自分は嫌われている」と思うようになるのです。
あなたの愛は子どもに伝わっていますか。
あなたの愛が子どもに伝わるにはどうすればよいのでしょうか。
まず、子どもが誕生したときのあの感動を思い出してみましょう。
子どもが誕生したとき、あなたは身体がふえるほどの感動をもって喜んだはずです。
「生まれてくれてありがとう」と感じたはずです。
その小さな命の輝きに目を見張り、うるませ、あふれるほどの愛情をもって抱きしめたのではないですか。
この子がこの世に生まれてきた、それだけでよかったのではないでしょうか。
あの時、あなたは子どもの全存在を無条件に受け入れていました。
全部まるごと、大好きでした。
その子どもの誕生物語を想い出しましょう。
そして、子どもの誕生日には、あのときの熱い思いを語ってあげるのです。