豊かな心を育てるヒント

「読み聞かせ」で様々な力が育つ

「人の話をしっかり聞ける子になってほしい」と願わない親はいません。「聞く」ことには次のような良さがあるからでしょう。

「聞くこと」の良さ

1.情報の多くは、聞くことによって得ることができます。

2.学力を獲得する点でも、聞く力は読み書き以前の基礎的な能力です。

3.人の話を聞いて、相手の言うことを理解することは思いやりにもなります。

ところが、このごろの子どもは聞く力が弱い。自分本位なおしゃべりは得意ですが、落ち着きがなく、人の話をきちんと聞く力に乏しいのです。

「しっかり話を聞きなさい」と何度注意しても、一時的にはできるのですが、長続きしません。
聞く力の土台となる集中力や持続力が弱いからです。

そこで、お薦めしたいのが「読み聞かせ」です。

時間は、十分間ほどでかまいません。
絵本や童話を読んでやります。

続けると次のような効果が出てきます。

「読み聞かせ」の効果

1.子どもに聞く力や集中力が育ちます。

2.感動をさそう物語なら、情感豊かな子どもに育ちます。

3.文字や本に興味を持ち、読書好きの子どもにもなります。

これは、高校生でも言えることです。
静岡県のある高校野球部では、週に一度、講師による読み聞かせを続けてきました。
読む本は、小学生向けの絵本です。

野球部の監督さんによると、「守備のフォメーションを説明したときに、正確に理解できない子が多かった。きちんと人の話を聞き、イメージする訓練が必要だと感じた」というのが、はじめた動機です。

望外の成果がありました。
ミーティングでの聞く態度が格段によくなったのです。

絵本での感動的な話から、優しさや思いやりの大切さを学んだのか、チームの結束力がいっそう高まりました。

そして、試合中の集中力と落ち着きが増し、その年の県大会では、準優勝という快進撃となったのです。

私もクラスの子供たちに、よく読み聞かせをしてきました。

浜田広介著『泣いた赤おに』、ハンス・ウィルヘルム著『ずうっと、ずっと、大好きだよ』、斉藤隆介著『花さき山』、ウィーダ著『フランダースの犬』など。

子どもたちのキラキラ光る目の輝きと笑いと涙が、そのわずかな時間に生まれました。
読んであげた本を子どもたちは、競って自分から読むようになりました。

読み聞かせは、聞く力を高め、心を豊かにし、将来の快進撃につながる教育なのです。